今回は、コンプライアンスセンターのアイテム保持ポリシーについてご紹介していきたいと思います。
Exchange管理センターにもアイテム保持ポリシーがありますが、別の機能であり、訴訟ホールドのようにデータを保持したり、指定した期間が経過したアイテムを削除することができます。
Exchange管理センターのアイテム保持ポリシーについては、以下の記事をご参照ください。
it-bibouroku.hateblo.jp
保持ポリシーを作成する場合は、"特定の期間アイテムを保持"、削除ポリシーを作成する場合は、"特定の期間が経過したときのみアイテムを削除"を指定します。
それぞれの動作について、以下にご案内いたします。
"特定の期間アイテムを保持" の動作について
指定した期間アイテムを保持する動作となりますが、[保持期間の終了時]の選択によって期間経過後の動作が異なりますので、以下にご案内いたします。
「アイテムを自動的に削除する」とした場合の動作について
受信トレイや送信済みアイテムが格納されているプライマリ領域、および削除したアイテムが保持されている回復可能なアイテムフォルダーのアイテムは期間経過後に自動で削除される動作となります。
※ 保持期間を経過したアイテムは、削除済みフォルダーに移動されていなくてもメールボックスから自動削除されます。
なお、期間経過後に受信トレイや送信済みアイテムフォルダー (プライマリ領域) から自動削除されたアイテムは回復可能なアイテムフォルダーに移動し、一定期間 (既定 14 日) 経過した後 完全削除されます。
「何もしない」とした場合の動作について
受信トレイや送信済みアイテムが格納されているプライマリ領域のアイテムは自動では削除されません。
削除したアイテムが保持されている回復可能なアイテムフォルダーのアイテムのみ期間経過後に自動で削除される動作となります。
※回復可能なアイテム領域に移動してから、既定の14日経過後に削除されます。
プライマリ領域のアイテムをユーザーが手動で削除されても回復可能なアイテムフォルダーに移動され、設定した期間経過した後 自動で完全削除されます。
"特定の期間が経過したときのみアイテムを削除" の動作について
保持機能を有効にせずに、受信トレイや送信済みアイテムが格納されているプライマリ領域、および削除したアイテムが保持されている回復可能なアイテムフォルダーのアイテムは期間経過後に自動で削除される動作となります。
※回復可能なアイテム領域に移動してから、既定の14日経過後に削除されます。
保持ポリシーと削除ポリシーの作成手順は以下のとおりです。
保持ポリシーを作成する手順
- 管理者にて、Office 365 サービスへサインインします。
- Microsoft365 管理センターを開き、画面左ペインの [管理センター] - [コンプライアンス] をクリックします。
- コンプライアンス センターにて、[情報ガバナンス] をクリックし、上部の [アイテム保持ポリシー] をクリックします。
- [+ 新しいアイテム保持ポリシー] をクリックします。
- [名前] [説明] を任意で入力し、[次へ] をクリックします。
- [ポリシーを適用する場所の選択] 画面にて、[Exchange メール] のみ有効にします。
- [Exchange メール] の [編集] をクリックし、対象となるユーザーを選択し、[完了] をクリックします。
※ 一覧に該当のユーザーが存在しない場合は、検索バーに該当のユーザーの表示名、メールアドレスを入力しエンターキーを押して検索します。
※ 全ユーザーを指定する場合は、[編集] をクリックせずにそのまま進めてください。
- [コンテンツを保持するか、削除するか、または両方を行うかを決定します] 画面にて、[特定の期間アイテムを保持] を選択した状態でプルダウンメニューより保持期間を指定します。
※ [カスタム] を選択することで、月単位や日単位での指定も可能です。
- [保持期間の終了時] の項目を [何もしない] に指定し、[次へ] をクリックします。
※ [アイテムを自動的に削除する] を選択した場合は、保持されているアイテムと受信トレイなどの通常のフォルダーに格納されているアイテムも、設定した保持期間が経過しますと自動的に削除される動作になります。
※メールメッセージの場合、[以下に基づき保持期間を開始する] を [アイテムの作成日時] [アイテムの最終更新日時] を選択したかどうかに関係なく、メールの作成日時に基づいて削除されます。
- [確認と完了] 画面にて、設定に問題ないことを確認後 [送信] をクリックします。
- [完了] をクリックします。
削除ポリシーを作成する手順
- 管理者にて、Office 365 サービスへサインインします。
- Microsoft365 管理センターを開き、画面左ペインの [管理センター] - [コンプライアンス] をクリックします。
- コンプライアンス センターにて、[情報ガバナンス] をクリックし、上部の [アイテム保持ポリシー] をクリックします。
- [+ 新しいアイテム保持ポリシー] をクリックします。
- [名前] [説明] を任意で入力し、[次へ] をクリックします。
- [ポリシーを適用する場所の選択] 画面にて、[Exchange メール] のみ有効にします。
- [Exchange メール] の [編集] をクリックし、対象となるユーザーを選択し、[完了] をクリックします。
※ 一覧に該当のユーザーが存在しない場合は、検索バーに該当のユーザーの表示名、メールアドレスを入力しエンターキーを押して検索します。
※ 全ユーザーを指定する場合は、[編集] をクリックせずにそのまま進めてください。
- [コンテンツを保持するか、削除するか、または両方を行うかを決定します] 画面にて、[特定の期間が経過したときにのみアイテムを削除] を選択した状態でプルダウンメニューより削除されるまでの期間を指定し、[次へ] をクリックします。
※ [カスタム] を選択することで、月単位や日単位での指定も可能です。
※メールメッセージの場合、[コンテンツを削除する基準] を [アイテムの作成日時] [アイテムの最終更新日時] を選択したかどうかに関係なく、メールの作成日時に基づいて削除されます。
- [確認と完了] 画面にて、設定に問題ないことを確認後 [送信] をクリックします。
- [完了] をクリックします。
なお、コンプライアンス センターのアイテム保持ポリシーと Exchange Online のアイテム保持ポリシーの同時構成について、Exchange Online のアイテム保持ポリシーの削除の保持タグが既定タグの場合には、期間が短い設定が反映することを確認しております。
例として、コンプライアンス センターのアイテム保持ポリシーが 1 か月、 Exchange Online のアイテム保持ポリシーが 10 年の場合、1 か月経過により、アイテムが削除される様になります。
また、Exchange Online のアイテム保持ポリシーでは保持タグの優先順位があり、既定タグ < 既定フォルダー タグ < 個人タグ と、個人タグの構成が最優先される動作があります。
優先順は、コンプライアンス センターのアイテム保持ポリシーとの構成においても有効となること確認しております。
例として、以下構成とした場合には、フォルダー A 内のアイテムは削除されず、受信トレイ内は 90 日、その他 フォルダーは 30 日経過でアイテムが削除される動作となります。
・ ガバナンスの保持 → 既定タグ : 30 日で削除
・ [受信トレイ] → アイテム保持ポリシーの 既定フォルダー タグ : 90 日で削除
・ [受信トレイ] 配下のフォルダー A → アイテム保持ポリシーの 個人タグ : 削除無し
[以下に基づき保持期間を開始する]と[コンテンツを削除する基準]について
Exchange アイテムの場合、経過時間は受信メールの受信日または送信メールの送信日に基づいているため、 [アイテムの作成日時] [アイテムの最終更新日時] を選択したかどうかに関係なく、メールの作成日時に基づいて処理されます。
最終更新日に基づいてアイテムを保持するポリシーは、OneDrive および SharePoint のコンテンツ サイトにのみ適用されます。