ディレクトリ同期環境において、Microsoft 365 に同期されたオブジェクトのメール アドレスは、Exchange Online 側からの設定や変更が制限されており、オンプレミス Active Directory (以下、AD) 側にて該当オブジェクトの [proxyAddresses] 属性または [mail] 属性より設定し、ディレクトリ同期を実施する方法となります。
なお、[mail] 属性はプライマリ SMTP アドレス (送受信可能なメール アドレス) のみ設定可能な属性となり、セカンダリ SMTP アドレス (受信専用のメール アドレス) の設定を行う場合は、[proxyAddresses] 属性にて設定する必要があります。
また、[proxyAddresses] 属性と [mail] 属性の両方に値が設定されている場合は、[proxyAddresses] 属性の設定が優先されて同期される動作となります。
[proxyAddresses] 属性に何らかの値が設定されている場合は、Exchange Online 上のプライマリ SMTP アドレスには [mail] 属性のアドレスは反映されませんので、[proxyAddresses] 属性にてプライマリ SMTP アドレスを設定する必要があります。
なお、同期済みオブジェクトについてメール アドレスを変更すると、変更前のメール アドレスが自動で保存される機能はありません。
メール アドレス変更後も、変更前のメール アドレス宛のメールを引き続き受信する要件がある場合には、オンプレミス AD の [proxyAddresses] 属性を利用して、変更前のメール アドレスをセカンダリ SMTP アドレスとして明示的に設定する必要があります。
以下に、オンプレミス AD 上の属性エディターにて [proxyAddresses] 属性を設定する場合の手順についてご紹介します。
オンプレミス AD にて [proxyAddresses] 属性へ設定を行う手順
- オンプレミス AD にて、管理ツールから [Active Directory ユーザーとコンピューター] を起動します。
- 上部のタブより [表示] を開き、[拡張機能] をクリックし有効化します。
- 対象オブジェクトをダブルクリックしプロパティ画面を開きます。
- [属性エディター] タブを選択します。
- [属性] より、[proxyAddresses] を選択し、[編集] ボタンをクリックします。
- [値] に、下記の形式で各アドレスを入力して、都度、[追加] ボタンをクリックします。
設定例 :
プライマリ SMTP アドレス (大文字 SMTP にて設定します)
セカンダリ SMTP アドレス (小文字 SMTP にて設定します)
※ プライマリ SMTP アドレス (送受信可能なメール アドレス) の SMTP は大文字で入力し、セカンダリ SMTP アドレス (受信専用のメール アドレス) は、smtp を小文字で入力します。
※ プライマリ SMTP アドレスは 1 つのみ、セカンダリ SMTP アドレスは複数設定することが可能です。
- 必要なアドレスを追加しましたら、[OK] ボタンをクリックします。
- 画面が戻りますので、[適用] ボタンをクリックし、[OK] ボタンをクリックします。
- Azure AD Connectサーバーにて、定期同期が実行されるか、強制同期を実行しますと、オンプレミス AD 上に設定したアドレスが Microsoft 365 テナントに反映されます。