パブリック フォルダーは、テナント内のユーザーに対して共有しているフォルダーです。
テナント内の各ユーザーにて、パブリック フォルダーを閲覧し、アイテムの投稿を行うことができ、ファイルの添付も可能です。
そのため、組織内で共有したい文章やファイルなどをパブリック フォルダーに投稿し、共有することが可能です。
なお、パブリック フォルダーは、メールを有効化することにより、パブリック フォルダーのフォルダー名でメールアドレスを持つことができるため、パブリック フォルダーのメールアドレスにてメールの送受信を行うことが可能となります。
パブリックフォルダーは作成した時点でアクセス権限 [既定] [匿名] が登録されており、組織内のユーザーは [既定] が適用され、組織外のユーザーは [匿名] が適用される動作になっております。
[既定] には Author(作成者) 権限が設定されているため、組織内のユーザーは別途パブリックフォルダーに対する権限を付与することなくパブリックフォルダーにアクセスすることが可能です。
しかしながら、[匿名] には None (権限無し) が設定されているため、組織外のユーザーがアクセスする場合には [匿名] の権限を変更する必要があります。
アクセス権の [既定] ユーザーについては、テナント内の全ユーザーを対象とした権限となっており、ルートフォルダーの [既定] ユーザーのアクセス権を [なし] とすることで、全ユーザーからパブリックフォルダーの利用を制限することが可能です。
なお、パブリックフォルダーの権限は、フォルダーを作成するときに親の権限を継承するため、配下にフォルダを作成した場合、[既定] [匿名]ともに親の権限を継承します。
しかしながら、配下のフォルダを作成してから親フォルダの権限を変更しても配下のフォルダの権限は変更されません。
共有メールボックスでは、1名が既読すると全ユーザーのメールが既読になりますが、パブリックフォルダでは既読した場合でも他のユーザーに反映されません。
パブリックフォルダの自動拡張
パブリック フォルダー メールボックスについては、紐づいているパブリック フォルダーの総容量がパブリック フォルダー メールボックスの上限をひっ迫した際に、自動的に新しいパブリック フォルダー メールボックスを生成し、紐づいているパブリック フォルダーの紐づけ先を変更し容量を分散する動作があります。
それにより、一部のパブリックフォルダを新規で作成したパブリックフォルダメールボックスに移動し、最終的にはすべてのパブリック フォルダーメールボックスが警告表示クォータ以下とすることができます。
なお、パブリックフォルダーが紐づいているパブリックフォルダーメールボックスが異なっても、Outlook 上、ユーザーからの見え方に違いはありませんので、特に意識することなく利用できます。
また、分割処理中であっても、パブリック フォルダーへのアイテム投稿や投稿されているアイテムの参照は問題なく利用が可能ですが、容量上限まで利用が行われている場合には、自動分割が完了するまでアイテムの格納が制限される動作となります。
この場合には、処理に最大 2 週間かかる場合があります。
パブリックフォルダの容量
パブリック フォルダーは、パブリック フォルダー メールボックスに格納されており、パブリック フォルダー メールボックスで使用できる容量は、第一階層の容量 100 GB が 1 個、自動拡張される第二階層の容量 100 GB が 999 個の計 1000 個までで合計 100 TB 使用することが可能です。
また、第一階層の容量が上限値に近い値になると、第二階層は自動拡張で作成されるため第二階層をあらかじめ作成する必要はありません。
第二階層をあらかじめ作成した場合は、第一階層の容量が上限値となった場合に第二階層を使用します。
なお、パブリックフォルダメールボックスの自動拡張のしきい値に関する情報として、過去公開情報より "警告表示クォータ (IssueWarningQuota)" をトリガーとする旨の記載があります。
このプロセスは、パブリック フォルダー メールボックスのクォータ使用率をアクティブに監視します。
これにより、パブリック フォルダー メールボックスが予期せずいっぱいになり、新しいコンテンツを任意のパブリック フォルダーに追加できなくなる事態を防げます。
パブリック フォルダー メールボックスの容量が警告表示クォータの値である 24.5 GB に達すると、このプロセスが自動的にトリガーされ、パブリック フォルダーが現在配置されている場所の再割り当てが実行されます。
なお、 警告表示クォータ (IssueWarningQuota) の値が 24.5GB と記載されておりますが過去の値であり、現在、"Plan 2 の場合 98GB" "Plan 1 の場合 49GB" が IssueWarningQuota に設定されます。
なお、パブリックフォルダメールボックス の IssueWarningQuota の値は変更が行えない動作となっております。
パブリックフォルダのアクセス権を変更する手順
Exchange 管理センターにてパブリックフォルダのアクセス権を変更する手順
- 管理者アカウントにて Microsoft365 管理センターへサインインします。
- 画面左側にある [管理センター] - [Exchange] をクリックします
- 画面左側の [パブリック フォルダー] をクリックします。
- アクセス権設定を行われたいフォルダーを選択します。
※パブリック フォルダー名をクリックしますと、次の階層にアクセスされますのでご注意ください。
- 画面右側 [フォルダーのアクセス許可] の下の [管理] をクリックします。
- 別途 [パブリック フォルダー アクセス許可] のウィンドウが表示されますので、アクセス権を変更するユーザーをダブルクリックします。
- アクセス許可レベルのプルダウンメニューから任意のアクセス権を選択し [保存] をクリックします。
- [フォルダーのアクセス許可] 画面に戻りますので、[保存] をクリックします。
Powershell にて、パブリックフォルダのアクセス権を変更する場合
PowerShell 操作の場合、既にいずれかの権限を付与されている際は、一度権限を剥奪したのち付与を行っていただく必要がございます。
以下に権限剥奪を行うコマンドレットと、権限付与するコマンドレットを記載いたします。
以下のサイトの手順にて、Exchange Online に接続してから実行してください。
- パブリック フォルダーに付与されているアクセス権限を剥奪するコマンドレット
[構文]
Remove-PublicFolderClientPermission -Identity "パブリック フォルダーのフォルダー パス" -User "該当のユーザー" -Confirm:$False
[実行例]
Remove-PublicFolderClientPermission -Identity \PublicFolder -User "user@contoso.com" -Confirm:$False
- パブリック フォルダー内に対するユーザーへの権限を付与するコマンドレット
[構文]
Add-PublicFolderClientPermission -Identity "\パブリック フォルダーのフォルダー パス" -User "該当のユーザー" -AccessRights "付与する権限"
[実行例]
Add-PublicFolderClientPermission -Identity \PublicFolder -User "user@contoso.com" -AccessRights Owner
※上記の例では、"user@contoso.com" のアクセス権を所有者としています。
アクセス権の種類
所有者 (Owner) : フォルダー内のすべてのアイテムの作成、参照、変更、および削除。所有者であるユーザーは他のユーザーのフォルダーに対するアクセス権を変更できます。
発行編集者 (PublishingEditor) : すべてのアイテムの作成、参照、変更、削除、およびサブフォルダーの作成。
編集者 (Editor) : すべてのアイテムの作成、参照、変更、削除
発行作成者 (PublishingAuthor) : アイテムの作成と参照、サブフォルダーの作成、および自身が作成したアイテムの変更と削除。
作成者 (Author) : アイテムの作成と参照、および自身が作成したアイテムの変更と削除。
非編集作成者 (NonEditingAuthor) : アイテムの作成と参照、および自身が作成したアイテムの削除。
寄稿者 (Contributor) : アイテムの作成のみ。
参照者 (Reviewer) : アイテムの参照のみ。
なし (None) : 実行できる操作なし。ユーザーはアクセス権リストに残りますが、アクセス権はなく、フォルダーは開けません。
パブリック フォルダーのメール有効化について
パブリック フォルダーにメールアドレスを持たせ、メールの送受信を可能にするには、パブリック フォルダーに対して、メールの有効化を行うことで可能となります。
パブリック フォルダーへメールの有効化を行う手順を以下にご案内いたします。
- 管理者アカウントにて、Microsoft365 管理センターへサインインし、[管理センター] > [Exchange ] をクリックします。
- 左ペインの [パブリック フォルダー] をクリックし、メニュー内の[パブリック フォルダー] へアクセスします。
- 作成されたパブリック フォルダーの一覧が表示されますので、メールを有効化したいパブリック フォルダーをクリックします。
- 右ペインに、[メールの設定・無効] となっておりましたら、[有効にする] をクリックします。
- 右ペインの [メールの設定] が [有効] になります。
- 該当のパブリック フォルダーでメールの受信が可能となります。
※ メールアドレスを確認する際は、該当のパブリック フォルダーをダブルクリックすると、別途設定の画面が表示されます。左ペインの [メールアドレス] をクリックすると、メールアドレスが表示されます。
パブリック フォルダーのメールアドレスの変更方法
メールアドレスを変更する場合、Powershell にて、EmailAddressPolicyEnabled を False に変更する必要がございますので、以下の手順にて実施してください。
なお、以下のサイトの手順にて、Exchange Online に接続してから実行してください。
1. メールが有効なパブリックフォルダーへメールアドレス変更を許可するコマンド
メールが有効なパブリックフォルダーのメール アドレスを変更するには、以下の Windows PowerShell コマンドを実行します。
[構文]
Set-MailPublicFolder -Identity <パブリックフォルダーのメールアドレス> -EmailAddressPolicyEnabled $False
[実行例]
Set-MailPublicFolder -Identity Publicfolder@contoso.com -EmailAddressPolicyEnabled $False
2. メールが有効なパブリックフォルダーのメール アドレスを変更するコマンド
Set-MailPublicFolder コマンドにて、メールが有効なパブリックフォルダーのメールアドレスを変更することが可能です。
このコマンドレットを実行しますと、指定したメールアドレスがプライマリメールアドレスになり、今までのプライマリメールアドレスがセカンダリメールアドレスへ変更されます。
[構文]
Set-MailPublicFolder -Identity <現在のプライマリメールアドレス> -PrimarySmtpAddress <変更するプライマリメールアドレス>
[実行例]
Set-MailPublicFolder -Identity Publicfolder@contoso.com -PrimarySmtpAddress Publicfolder01@contoso.com
3. GUI 上にてメールアドレスを変更する手順
本手順にてメールアドレスを変更した際には、変更する前のメールアドレスはセカンダリメールアドレスとしての登録は行われず、変更を行ったメールアドレスがプライマリメールアドレスとしてのみ登録される状態となります。
- 管理者アカウントにて Office 365 へサインインします。
- [Microsoft 365 管理センター] の左ペインの [Exchange] をクリックし、[Exchange 管理センター] へアクセスします。
- [パブリックフォルダー] - [パブリックフォルダー] にて、該当のパブリックフォルダーをダブルクリックします。
- パブリックフォルダーを編集する画面が表示されますので、左ペインの [メールアドレス] をクリックします。
- 太文字の [SMTP] と記載されているメールアドレスをダブルクリックします。
- [メールアドレス] の画面が表示されますので、現在のメールアドレスを削除した上で、任意のメールアドレスを入力し、[OK] - [保存] をクリックします。
Outlook パブリックフォルダーの閲覧
パブリックフォルダーを利用する場合、Outlook クライアントや Outlook on the web では以下の様に設定します。
Outlook クライアント
- Outlookクライアントを起動し、画面下部のアイコン[…] をクリックし [フォルダー] を選択します。
- 左ペインにフォルダー構成が表示されますので、下にスクロールし[パブリック フォルダー - (メール アドレス)] を表示名左にある三角のボタンをクリックします。
- [全てのパブリック フォルダー]の左にある三角のボタンをクリックすることで作成したパブリック フォルダーが表示されます。
※ Outlook クライアントでパブリックフォルダーを閲覧する場合は、接続方式を MAPI 接続で自動構成にて設定を行っていただく必要があります。
Outlook on the Web
- Office 365へサインインしOutlook on the Web にアクセスします。
- 左ペインの[フォルダー] - [その他] をクリックし全フォルダーを展開します。
- [お気に入り]を右クリックし、[[お気に入り]にパブリック フォルダーを追加] をクリックします。
- [パブリック フォルダーをお気に入りに追加]画面が別途表示されますので、表示させたいパブリック フォルダーを選択し、[☆ お気に入りに追加]をクリックします。
- [フォルダー"(フォルダー名)"は、メールの [お気に入り] に追加されました] と表示される事を確認し、[×] をクリックし追加画面を閉じます。
※ 追加するパブリック フォルダーが複数ある場合は、都度選択し [☆ お気に入りに追加] をクリックします。
- 画面がメール画面に戻りますので、左ペインの[お気に入り] を展開し追加したパブリック フォルダーが表示される事を確認します。