訴訟ホールドなどの保持機能を有効化していないことを前提として、メールボックスを削除した場合や Exchange Online のライセンスをはく奪した場合は、30 日間保持され、その間にExchangeOnlineのライセンスを付与すれば復元が可能です。
ただし、30日以上を経過しますとExchangeOnlineのライセンスを付与しても新規でメールボックスが作成され、復元することができません。
なお、訴訟ホールドなどの保持機能を利用しない限り、復元の期間を30日以上に延長することはできません。
現在の動作として、アカウントの削除操作の場合には 30 日経過しユーザーアカウントが完全削除された後でも、さらに 30 日間 (60 日以内) はメールボックス内のアイテムのみであれば復元することが可能です。
アイテム復元については、New-MailboxRestoreRequest コマンドレットにて、アクティブな別のメールボックスへ復元 (コピー) する操作が必要となります。
ユーザー アカウントの物理的な削除後、メールボックスが Office 365 から完全に削除されるまでに最大 60 日かかります。 ユーザー アカウント削除後のメールボックスのライフサイクルおよびその間のメールボックス データの状態について以下に説明します。
1 日目から 30 日目 — 倫理削除されたユーザー アカウントを復元することで、メールボックスを完全に復元できます。
31 日目から 60 日目 — ユーザー アカウントが物理削除されてから 30 日間は、組織の管理者がメールボックス内のデータを回復して、別のメールボックスにインポートできます。 これにより組織は、メールボックス データを必要に応じて回復できるようになります。
61 日目から 90 日目- 管理者は、メールボックス内のデータを回復できません。 メールボックス データには永久削除のマークが付けられますが、Office 365 からメールボックス データが消去されるまでにはさらに最大で 30 日かかります。
削除されたメールボックスのデータをコピーする手順を以下にご紹介していきたいと思います。
削除されたメールボックスのデータをコピーする手順について
※ 受信トレイのアイテムは受信トレイに、送信済みアイテムフォルダーのアイテムは送信済みアイテムフォルダーにそれぞれコピーされます。
※ 削除されてから 60 日以上経過している場合、メールボックスはサーバー上から完全に削除されているため、復元やコピーはできません。
削除済みメールボックスのアイテム コピーについて
削除済みメールボックス (コピー元) の Guid、削除済みメールボックスのアイテムを移すメールボックス (コピー先) の Guid を利用しメールボックスのアイテムをコピーする流れとなります。
Guid を元にするため、コピー元とコピー先でメール アドレスが重複していても問題なくコピーが可能です。
事前に以下のコマンドにより、必要な Guid を確認します。
[削除済みのユーザー] のメールボックスの Guid を確認するコマンド
[構文]
Get-Mailbox -SoftDeletedMailbox "削除されたメールボックスのメール アドレス" | Select DisplayName,Guid
[実行例]
Get-Mailbox -SoftDeletedMailbox UserA@contoso.com | Select DisplayName,Guid
※ SoftDeletedMailbox にて削除済みメールボックスを指定しています。
<出力例>
DisplayName Guid
----------- ----
UserA del2a82-7365-49a4-9144-dfb3ee87***e
メール アイテム コピー先のメールボックスの Guid を確認するコマンド
[構文]
Get-Mailbox "コピー先のメールボックスのメール アドレス" | Select DisplayName,Guid
[実行例]
Get-Mailbox UserA@contoso.com | Select DisplayName,Guid
※ アクティブなメールボックスを指定しています。
<出力例>
DisplayName Guid
----------- ----
UserA Act2a82-7365-49a4-9144-dfb3ee87***e
メール アイテムをコピーする
1,メールボックス内アイテムのコピーを行う
[構文]
New-MailboxRestoreRequest -TargetMailbox "コピー先の Guid" -SourceMailbox "コピー元の Guid" -AllowLegacyDNMismatch -BadItemLimit 100 -AcceptLargeDataLoss
[実行例]
New-MailboxRestoreRequest -TargetMailbox "Act2a82-7365-49a4-9144-dfb3ee87***e" -SourceMailbox "del2a82-7365-49a4-9144-dfb3ee87***e" -AllowLegacyDNMismatch -BadItemLimit 100 -AcceptLargeDataLoss
※BadItemLimitは、破損アイテムなどを許容する数のため、少ない値だとエラーになる可能性がありますが、Get-MailBoxRestoreRequestStatistics で PercentComplete が 100 の場合は全部コピーが終わっており、最後の整合性チェックで失敗してるものではありませんので問題ありません。
2.アーカイブメールボックス内アイテムのコピーを行う
※ インプレースアーカイブを有効化しており、アーカイブ メールボックス領域にアイテムがある場合、必要に応じて実行してください。
※ コピー先メールボックスのアーカイブ メールボックスが有効となっている必要があります。
[実行例]
New-MailboxRestoreRequest -TargetMailbox "Act2a82-7365-49a4-9144-dfb3ee87***e" -SourceMailbox "del2a82-7365-49a4-9144-dfb3ee87***e" -AllowLegacyDNMismatch -TargetIsArchive -SourceIsArchive -BadItemLimit 100 -AcceptLargeDataLoss
上記コマンドを実行することにより、メールボックスの [移動要求] が作成され、コピーが実行されます。
データの移動が完了したかどうか、以下のコマンドにて確認が可能です。
[構文]
Get-MailboxRestoreRequest | Select Name,TargetMailbox,Status,WhenCreated
表示された実行結果の [Status] が [Completed] になりましたら、データのコピーが完了しております。
また、処理に要する時間については、過去事例より 1 GBにつき 1 時間 を目安としています。
時間を置いても進捗が見られない、Message にエラーの表示が行われている場合は、"Resume-MailboxRestoreRequest" コマンドレットにてコピー処理の再開をお試しいただくか、"Remove-MailboxRestoreRequest" にて処理を中止し再処理してみてください。