今回は添付ファイルがwinmail.datに置き換わる事象について解説します。
よろしくお願いいたします
Exchange Onlineから添付ファイルを付けてメールを送信した場合、相手先に [winmail.dat] の添付ファイルに置き換わってしまう場合や添付ファイルが消失してしまう事象があります。
原因として、Exchange Online から TNEF 形式で送信したメッセージの添付ファイルが削除され、[Winmail.dat] のファイルに置き換わってしまうことが考えられます。
TNEF とは、Transport Neutral Encapsulation Format (トランスポート ニュートラル カプセル化形式) の略語で、メールの送受信に使われるプロトコルに依存せずに、Outlook クライアントの処理に必要なデータをカプセル化して送信する形式です。
TNEF形式とは、リッチテキスト形式と同じものと考えていいです。
なお、既定の動作では、Outlook クライアントや Outlook on the web にて、テキスト形式や HTML 形式を指定して送信した場合も Exchange Online にて、TNEF 形式に変換されて送信されます。
Outlook は通常のメール機能の他に予定表やアンケートの回答集計など、データのやり取りも行える総合メールクライアントとなっているため、メールデータや添付ファイルにつきましても、様々な拡張機能のデータも全て [Winmail.dat] という1つのファイルにカプセル化され、そのカプセル化されたデータは [Winmail.dat] のファイル名で添付されます。
受信側が Outlook クライアントを使用していた場合、この [Winmail.dat] をデコードすることで、Outlook 固有のさまざまな機能やプロパティを正しく送信することが可能になりますが、TNEF を認識できないサーバーやメールクライアントで受信をすると、添付ファイルが消えてしまう場合や添付ファイルが [Winmail.dat] として受信される場合があります。
なお、事象の回避方法といたしましては、Exchange 管理センターにてリモートドメインのリッチテキスト形式の無効化する方法があります。
この設定を行うことで、該当の宛先へのメールは HTML 形式またはテキスト形式で配信されます。
また、リモートドメインは外部のみに適用されますので、同じOffice365内のユーザーに送信したメールはTNEF形式で送信されます。
Exchange管理センターからTNEF形式を無効にする手順
すべての組織外へのメッセージに対し TNEF 形式を無効にする場合
- https://outlook.office365.com/ecp/ にアクセスし、管理者のユーザーでサインインします。
- 画面左側のメニューから [メールフロー] をクリックします。
- [リモートドメイン] をクリックし、一覧から [Default] をクリックします。
- [リッチテキスト形式を使用する] にて [許可しない] をクリックしチェックします。
- [保存] をクリックします。
※ 設定の反映まで 1 日程度時間がかかる場合があります。
特定の組織外ドメインへのメッセージに対しTNEF 形式を無効にする場合
- https://outlook.office365.com/ecp/ にアクセスし、管理者のユーザーでサインインします。
- 画面左側のメニューから [メールフロー] をクリックします。
- [リモートドメイン] をクリックし、[+] をクリックします。
- [名前] にリモートドメインにつける名前を任意に入力します。
- [リモートドメイン] に該当のドメインを入力します。
- [リッチテキスト形式を使用する] にて [許可しない] をクリックしチェックします。
- [保存] をクリックします。
※ 設定の反映まで1 日程度時間がかかる場合があります。
TNEF形式が無効化されることで制限される機能がありますので、ご紹介していきたいと思います。
ほとんど、社内で利用するような機能なので、外部への送信で制限されてもあまり影響が少ないものばかりです。
TNEF 形式が無効化された場合に制限が行なわれる機能
A. カスタム フォームが使用できません。フォームに埋め込んだプロパティやスクリプトは失われます。
Outlook には、カスタム フォームを作成するための Outlook フォーム デザイン環境が用意されており、組み込みのフォームを使用すると、Outlook アイテムに関連付けられている機能を活用することができます。
例として、自動的に宛先を確認する機能をカスタム フォームに組み込むこと可能ですが、TNEF が無効な場合は動作しないことが考えらます。
B. 会議出席依頼は iCalendar 形式が使用されます
Exchange 組織から外部に送信される会議出席依頼メールの形式については、iCalendar 形式、および、トランスポート ニュートラル カプセル化形式 (TNEF) があり、icalender形式は、Googleカレンダーやその他のスケジューラで読み込むことができるフォーマットです。
TNEF 形式を無効化している場合に会議出席依頼を送信すると、icalendar 形式にて送信される動作となります。
しかしながら、icalendar 形式による会議出席依頼と通常の会議出席依頼の比較を実施いたしましたが、インターフェースならびに利用方法や手順に関する差異は見受けられませんでしたので、大きな影響はないものと考えらます。
C. 仕事の依頼が使用できません。通常のメッセージに変換されます。
仕事の依頼につきましては、タスクを作成して他のユーザーに割り当てる場合にご利用いただく機能です。
TNEF を無効にした場合は、タスクの依頼により他のユーザーに割り当てた場合に通常のメッセージに変換されてしまうため、利用ができないといった影響があります。
D. 投票ボタンが使用できません。設定することは可能ですが、受信者には表示されません。
Outlook クライアントでは、電子メールメッセージに投票ボタンを追加することが可能ですが、TNEF が無効な場合は、投票ボタンを追加することは可能ですが、受信者に表示されないといった影響があります。
E. OLE (Object Linking and Embedding) オブジェクトの本文への埋め込みが使用できません。画像ファイルなどに置き換えられます。
OLE については、Windowsの機能のひとつで、複数のソフトウェアが連携したり、データを共有したりするための仕組みです。
あるアプリケーションソフトで作成、編集している文書中に別のソフトウェアで作成したデータを埋め込んだり、そのソフトウェアの機能を呼び出してその場で編集することが可能です。
※例えば、ワープロソフトの文書中に表計算ソフトで作成した表を貼り付け、ワープロソフト側で表を編集することができます。
TNEF を無効にした場合は、OLE オブジェクトを本文に埋め込みができないため、画像ファイルに置き換えられる影響があります。
F. メッセージの取り消しが使用できません。取り消しメッセージは通常のメッセージに置き換えられます。
Outlook クライアントには、送信したメッセージを取り消したり、任意のメッセージに置き換えたりすることができる機能があります。
TNEF を無効にすることでメッセージの取り消しができなくなるといった影響があります。