メールを削除した場合、回復可能なアイテム領域 (Deletions) に移動し、既定で 14 日経過後に完全削除される動作です。
なお、訴訟ホールドなどの保持機能が有効である場合は、回復可能なアイテム領域 (Deletions) から削除されたあと、指定した保持期間まで回復可能なアイテム領域 (DiscoveryHolds または Purges) に移動し保持されます。
保持機能が無効な場合でも、14 日経過する前に回復可能なアイテム領域 (Deletions) から削除した場合は、回復可能なアイテム領域 (Purges) に移動し、最終的に完全削除されます。
回復可能なアイテム領域 (Deletions) に残っている場合は、ユーザーでも復元することができますが、回復可能なアイテム領域 (DiscoveryHolds または Purges) に移動している場合は管理者にて復元する必要があります。
以下に、回復可能なアイテム領域 (Purges) のアイテムを復元する方法をご紹介したいと思います。
以下の手順では、DiscoveryHolds のアイテムは復元できません。後ほどご紹介するPowershellのコマンドレットで復元することができます。
回復可能なアイテム領域のアイテムを復元する手順
事前準備 : 必要な権限の付与を行う
事前に実行するユーザーに対して [管理者の役割] で [Mailbox Import Export] 権限の付与が必要となります。
※ グローバル管理者も、既定では [Mailbox Import Export] 権限が付与されていません。
Mailbox Import Export の役割の付与
- 管理者にて、Microsoft 365 管理センターにサインインし、[管理センター] - [Exchange] の順にクリックします。
- Exchange 管理センターにて、[アクセス許可] - [管理者の役割] をクリックします。
- [+] (追加) ボタンをクリックし [名前] に任意の名前を入力します。
- [役割:] にて、[+] ボタン (追加) より、"Mailbox Import Export" を追加し [OK] をクリックします。
- [メンバー:] にて、[+] ボタン (追加) より、役割を付与するユーザーを追加し [OK] をクリックします。
- 画面下の [保存] をクリックします。
管理者にて、Exchange 管理センターから回復可能なアイテム領域のアイテムを復元する
- 管理者権限を持つアカウントで Exchange 管理センターにアクセスします。
- Exchange 管理センターに遷移しますので、[受信者] > [メールボックス] を選択します。
- 対象のメールボックスにチェックを入れ、[その他] から [削除済みアイテムを復元] をクリックします。
- 表示されたアイテム一覧の [フォルダーの種類] より、現在の格納先フォルダーが確認可能です。
※ 画面上部の […] > [フォルダーの種類] より [削除] を選択し [フィルターの適用] をクリックすると [Deletions] フォルダー内のアイテムのみが表示され、[アーカイブされたアイテム] 選択し、 [フィルターの適用] すると [Purges] フォルダー内のアイテムのみの表示となります。
- 復元対象のアイテムがある場合、アイテムを選択した状態で [削除済みアイテムを復元] をクリックします。
上記の手順では、DiscoveryHolds に格納されているアイテムは復元ができないため、以下の Powershell の手順にて実施ください。
※ 上述した [Mailbox Import Export] の権限が付与されているユーザーにて実施してください。
以下のサイトの手順にて、Exchange Online に接続してから実行してください。
Restore-RecoverableItems コマンドによる復元について
Restore-RecoverableItems コマンドを実行することで、削除される前に存在していたフォルダーにアイテムの復元が可能です。
※ [FilterStartTime] や [FilterEndTime] には削除日が含まれるように指定してください。
※ [削除済みアイテムを復元 (Deletions)] フォルダーから削除されたアイテムは、無期限の訴訟ホールドが有効な場合は、[Purges]、有期限の訴訟ホールド、または保持ポリシーによる保持が有効な場合は [DiscoveryHolds] フォルダーに格納され、設定された期間保持が行われる動作を確認しております。
1. 特定メールボックスの Purges フォルダー内のアイテムを確認する
[構文]
Get-RecoverableItems <対象メールボックス> -SourceFolder Purgeditem -FilterStartTime "<開始日>" -FilterEndTime "<終了日>" -ResultSize Unlimited
[実行例]
Get-RecoverableItems User01@contoso.com -SourceFolder Purgeditem -FilterStartTime "06/01/2023" -FilterEndTime "06/19/2023" -ResultSize Unlimited
2. 特定メールボックスの DiscoveryHolds フォルダー内のアイテムを確認する
[構文]
Get-RecoverableItems <対象メールボックス> -SourceFolder DiscoveryHoldsitem -FilterStartTime "<開始日>" -FilterEndTime "<終了日>" -ResultSize Unlimited
[実行例]
Get-RecoverableItems User01@contoso.com -SourceFolder DiscoveryHoldsitem -FilterStartTime "06/01/2023" -FilterEndTime "06/19/2023" -ResultSize Unlimited
[実行結果例]
LastParentPath : 送信済みアイテム
LastParentFolderID : 0F*******
EntryID : 00**********************************
Subject : メールアイテムの件名
SourceFolder : RecoverableItems\DiscoveryHolds
実行結果にて [LastParentPath] が [送信済みアイテム] である場合、[送信済みアイテム] フォルダーに格納されていたアイテムとなります。
上記 [LastParentPath] が [送信済みアイテム] の [LastParentFolderID] の値を指定することで [送信済みアイテム] フォルダーに格納され削除されたアイテムのみを復元します。
3. 特定メールボックスの [LastParentFolderID] の値を指定しフォルダー内のアイテムを復元する
[構文]
Restore-RecoverableItems <対象メールボックス> -SourceFolder "Purgeditem または、DiscoveryHoldsitem" -LastParentFolderID "送信済みアイテムフォルダーの LastParentFolderID の値"
[実行例]
Restore-RecoverableItems User01@contoso.com -SourceFolder Purgeditem -LastParentFolderID "0F*******"
※ 上記実行例では、User01@contoso.com の回復可能なアイテム領域移動の Purges 内に格納されたアイテム内、[送信済みアイテム] フォルダーの [LastParentFolderID] を指定して復元しています。
※ 対象アイテムが DiscoveryHolds に格納されている場合は、[-SourceFolder] パラメータは [DiscoveryHoldsitem] を指定します。
4. 特定メールボックスの [EntryID] の値を指定し対象のアイテムを復元する
[構文]
Restore-RecoverableItems <対象メールボックス> -EntryID "対象のアイテムの EntryID の値"
[実行例]
Restore-RecoverableItems User01@contoso.com -EntryID "00**********************************"
※ 上記実行例では、User01@contoso.com の回復可能なアイテム領域内に格納されたアイテムの [EntryID] を指定して復元しています。
なお、アーカイブメールボックスの回復可能なアイテムに移動したアイテムについては、上記の手順では復元することができません。
その場合は、[コンテンツの検索]でPSTファイルにエクスポートしインポートする方法で復元する必要があります。