
この記事でわかること
- 会議出席依頼の変更・キャンセルができず「554 5.2.0」エラーが返る原因
- 回復可能なアイテム領域の容量を確認するPowerShellコマンド
- 容量が上限に達した場合の2つの対処法(削除 / アーカイブへの移動)
- 保持機能を無効化してアイテムを完全削除する手順
554 5.2.0 STOREDRV.Deliver.Exception:QuotaExceededException.MapiExceptionShutoffQuotaExceeded; Failed to process message due to a permanent exception with message Move/Copy messages failed.既存の予定表の予定が変更できない、あるいは他のユーザーが自分を含む予定を変更・キャンセルすると、そのユーザーにエラーメールが返ってきて予定に反映されない。こうした事象が発生した場合、上記のエラーが原因になっているケースがあります。
事象
- 既存の予定表の予定が変更できない
- 他のユーザーが、事象が発生しているユーザーを含む予定の変更・キャンセルをすると、エラーメールが返ってくる(予定に変更・キャンセルが反映されない)
会議出席依頼の変更などは、内部的に回復可能なアイテム領域の[Calendar Logging(予定表ログ)]にアイテムが格納される仕組みになっています。そのため、回復可能なアイテム領域の使用容量が上限に達しているメールボックスでは、この処理自体が行えず、差出人へ配信不能通知(NDR)が返される、という流れです。
- この記事でわかること
- まずは回復可能なアイテム領域の使用容量を確認する
- 容量の上限値について
- 対処法は2つ:削除 or アーカイブへ移動
- 手動で回復可能なアイテムを完全削除する手順
- よくある質問
- まとめ
まずは回復可能なアイテム領域の使用容量を確認する
以下のPowerShellコマンドレットで、回復可能なアイテム領域の使用容量を確認できます。あらかじめ Exchange Online PowerShell に接続してから実行してください。
ユーザー単位で確認する場合
<構文>Get-MailboxStatistics -Identity <対象メールボックスのアドレス> | Select TotalDeletedItemSize
<実行例>Get-MailboxStatistics -Identity Mailbox001@contoso.com | Select TotalDeletedItemSize
全ユーザーをまとめて確認する場合
<構文>
$UserList = Get-Mailbox -ResultSize Unlimited -RecipientTypeDetails UserMailbox
$MailboxStat = $UserList | Foreach {Get-MailboxStatistics -Identity $_.UserPrincipalName ; Start-Sleep -Milliseconds 200}
$MailboxStat | Select DisplayName,TotalDeletedItemSize | Export-CSV -NoTypeInformation -Encoding UTF8 <ファイルパス\ファイル名>
<実行例>
$UserList = Get-Mailbox -ResultSize Unlimited -RecipientTypeDetails UserMailbox
$MailboxStat = $UserList | Foreach {Get-MailboxStatistics -Identity $_.UserPrincipalName ; Start-Sleep -Milliseconds 200}
$MailboxStat | Select DisplayName,TotalDeletedItemSize | Export-CSV -NoTypeInformation -Encoding UTF8 "C:\Temp\TotalItemSizeList.csv"
実行結果の見方
DisplayName: ユーザーの表示名TotalDeletedItemSize: 回復可能なアイテム領域の使用容量
容量の上限値について
自動拡張アーカイブを有効化すると、現在の仕様では最大1.5TBまで拡張されます。ただし、通常領域と回復可能なアイテム領域を合算して 1.5TBが上限であることをご注意ください。
| 対象 | 条件 | 回復可能なアイテム領域の上限 |
|---|---|---|
| プライマリ メールボックス | 保持(訴訟ホールド等)なし | 30GB |
| プライマリ メールボックス | 保持あり | 100GB (保持+アーカイブ有効の場合は105GBまで引き上げ) |
| アーカイブ メールボックス | 自動拡張アーカイブ無効 | 100GB |
| アーカイブ メールボックス | 自動拡張アーカイブ有効 | 最大1.5TB(補助アーカイブに自動分割。各アーカイブ自体のクォータ表示は100GBのまま) |
※本来、回復可能なアイテム領域のアイテムは既定で14日(最大30日まで延長可)経過すると自動的に削除されます。にもかかわらず容量が上限に達している場合は、訴訟ホールドやアイテム保持ポリシーなどの保持機能が有効化されていることが想定されます。
対処法は2つ:削除 or アーカイブへ移動
回復可能なアイテム領域の容量が上限を超えている場合、対処法は主に2つです。
- 回復可能なアイテム領域のアイテムを削除する(保持機能を無効化して削除)
- アーカイブメールボックスにアイテムを移動する(インプレースアーカイブを有効化)
保持機能を無効化してアイテムを削除する場合、証跡や記録として保持していたデータも削除されてしまう点にご注意ください。アーカイブ目的で保持している場合は、以下の記事で紹介しているアーカイブメールボックスへの移動をおすすめします。
まだインプレースアーカイブを有効化していない場合は、有効化を検討しましょう。自動拡張アーカイブを有効にすれば、前述のとおり最大1.5TBまで拡張可能です。
手動で回復可能なアイテムを完全削除する手順
アーカイブへの移動が難しく、保持機能を無効化してアイテムを完全に削除したい場合は、以下の手順で進めます。保持期間そのものを無効化せず、保持期間を短縮するだけでも一定の空き容量は確保できます(例: 無期限保持を1年に短縮すれば、受信から1年以内のアイテムは削除されずに残せます)。
保持設定が行われている領域のアイテムは完全に削除され、元に戻すことはできません。実行前に Microsoft Purview のコンテンツ検索などでバックアップを取得しておくことを強く推奨します。また、
-RemoveDelayHoldApplied / -RemoveDelayReleaseHoldApplied パラメーターの実行には、Exchange Online で「Legal Hold」ロールが割り当てられている必要があります。1. メールボックスの保持を解除する
訴訟ホールドや Microsoft Purview のアイテム保持ポリシーなど、有効になっている保持機能を対象ユーザーに対して無効化します。
保持機能を無効化すると、DelayHoldApplied と DelayReleaseHoldApplied が自動的に有効になり、以降30日間は保持が継続する動作になります。すぐにアイテムを削除するには、次の手順でこれらを無効化する必要があります。
2. DelayHoldApplied を無効化する
<構文>Set-Mailbox -Identity <対象メールアドレス> -RemoveDelayHoldApplied
<実行例>Set-Mailbox -Identity User01@contoso.com -RemoveDelayHoldApplied
3. DelayReleaseHoldApplied を無効化する
<構文>Set-Mailbox -Identity <対象メールアドレス> -RemoveDelayReleaseHoldApplied
<実行例>Set-Mailbox -Identity User01@contoso.com -RemoveDelayReleaseHoldApplied
4. 管理フォルダアシスタントを実行する
保持が解除されたアイテムを実際に削除するため、管理フォルダアシスタント(Managed Folder Assistant)を対象メールボックスに対して走査させます。
<構文>Start-ManagedFolderAssistant -Identity <対象メールボックス>
<実行例>Start-ManagedFolderAssistant -Identity User01@contoso.com
※処理はバックグラウンドで行われるため、反映までに時間がかかることがあります。すぐに反映されない場合は、時間を置いて再度実行してみてください。
5. 容量が減ったか確認する
手順1で紹介した Get-MailboxStatistics を再実行し、回復可能なアイテム領域の容量が上限値(通常100GB)を下回っていれば、事象は解消しているはずです。
6. 設定を元に戻す
事象が改善したら、変更した設定を元に戻します。実質的には保持機能(訴訟ホールドやアイテム保持ポリシー)を再度有効化するだけで問題ありません。DelayHoldApplied と DelayReleaseHoldApplied は手動で「有効化」することはできない仕様ですが、保持機能自体を有効化すれば保持の動作は再開されるため、個別に有効化し直す必要はありません。
よくある質問
Q. なぜ会議の変更だけでエラーになるのですか?通常のメール送受信はできています。
A. 会議出席依頼の変更・キャンセルは、内部的に回復可能なアイテム領域の[Calendar Logging]にログを書き込む処理を伴います。回復可能なアイテム領域の容量が上限に達しているとこの書き込みができず、通常のメール送受信には影響がない場合でも、会議関連の操作だけがエラーになることがあります。
Q. 保持機能を無効化せずに容量を空ける方法はありますか?
A. インプレースアーカイブ(アーカイブメールボックス)を有効化し、古いアイテムをそちらに移動する方法であれば、保持していたデータを削除せずに容量を確保できます。まだ有効化していない場合は、こちらを優先的にご検討ください。
Q. RemoveDelayHoldAppliedを実行しても権限エラーになります。
A. このパラメーターの実行には、Exchange Online の「Legal Hold」ロールが割り当てられている必要があります。役割ベースのアクセス制御(RBAC)の設定で、実行アカウントにロールが付与されているか確認してください。
まとめ
「554 5.2.0 QuotaExceededException」エラーで会議出席依頼が変更できない場合は、以下の流れで対処しましょう。
Get-MailboxStatisticsで回復可能なアイテム領域の使用容量を確認- 容量が上限(30GB/100GB)に達していないか確認。上限に達している場合は保持機能が有効になっている可能性が高い
- 可能であればインプレースアーカイブ(自動拡張で最大1.5TB)へアイテムを移動
- アーカイブが使えない場合は、保持機能を一時的に無効化してアイテムを完全削除
特に自動拡張アーカイブの上限は仕様変更されているため、社内のドキュメントや過去の対応記録が古い場合は、この記事の最新の数値で更新しておくことをおすすめします。