インプレースアーカイブ(オンラインアーカイブ)を有効にすることにより、プライマリメールボックスとは別にアーカイブメールボックスが作成されるため、アーカイブメールボックス側にメールアイテムを移動させることで、プライマリメールボックスの容量の逼迫を回避することができます。
インプレースアーカイブを有効にした場合、管理フォルダーアシスタントが動作したタイミングでアイテム保持ポリシーの [Default 2 year move to archive] の既定タグにより、作成日または受信日から 2 年経過しているアイテム" が、プライマリ メールボックスからアーカイブ メールボックスへ自動的に移動されます。
手動で移動することもできます。
インプレースアーカイブを有効化する手順
1. 管理者にて Microsoft365 管理センターにアクセスします。
2. 左ペイン [管理センター] > [Exchange] をクリックします。
3. 左ペイン [受信者] > [メールボックス] をクリックします。
4. 対象のユーザーを一覧よりクリックし、[その他] タブから [メールボックスアーカイブの管理] をクリックします。
5. [メールボックスアーカイブのステータス] が [有効] の場合は有効、[無効] の場合は無効です。
6. [無効] の場合は、[有効] に変更し、任意で名前 (アーカイブメールボックスの表示名) を入力し、[保存] をクリックすることで有効になります。
なお、[有効] の場合は [無効] に変更し、[保存] をクリックすることで無効になります。
※ 設定が反映するまで時間がかかる場合があります。
全ユーザー一括で有効化する場合は、以下の記事をご参照ください。
なお、アーカイブメールボックスの容量は Exchange Online プラン1 かプラン2 によって異なりますので、以下にまとめてみました。
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Exchange Online プラン 1 が含まれるライセンス (Office 365 Enterprise E1 や Office 365 Business Premium 等)
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通常メールボックス : 50GB
通常メールボックス用回復可能領域 : 30GB
インプレース アーカイブ : 50GB
インプレース アーカイブ用回復可能領域 : 30GB
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Exchange Online プラン 2 が含まれるライセンス (Office 365 Enterprise E3 や E5)
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通常メールボックス : 100GB、
通常メールボックス用回復可能領域 : 100GB
インプレース アーカイブ : 100GB
インプレース アーカイブ用回復可能領域 : 100GB
通常メールボックス用 [回復可能領域] については、訴訟ホールドなどの保持設定が有効な場合 100 GB となり、保持設定が無効な場合 30 GB となります。
Exchange Online プラン2 の場合は、自動拡張機能を有効にするとアーカイブメールボックスの通常領域と回復可能なアイテム領域を合算して 1.5 TB まで容量を拡張することができます。
ユーザー単位、または、組織単位で有効にすることができ、ユーザー単位で有効にした場合は、プライマリメールボックスの回復可能なアイテム領域、アーカイブメールボックスの通常領域と回復可能なアイテム領域が暫定的に110GBに拡張されます。
自動拡張機能の有効化が適用され、アーカイブメールボックスの通常領域、または、回復可能なアイテム領域が90 GB を超えていることが初回の自動拡張が行われる条件であるため、有効化しても 90 GB を超えていない場合は拡張領域の追加は行われません。
アーカイブメールボックスを 90 GB 以上を使用してから自動拡張機能の有効化を行った場合においても、適用後に拡張が行われます。
拡張により追加される容量は50GBずつ拡張されることを確認してます。
動作としては、メインアーカイブ自体の容量の上限は変わらず100GB(110GB)であり、追加領域(AuxArchiveMailbox)が50GB程度追加され、そこにメインアーカイブからアイテムが移動し、メインアーカイブ側の通常領域、または、回復可能なアイテム領域に50GBの空きができる状態となります。
その後は、メインアーカイブの通常領域、または、回復可能なアイテム領域が上限に近づくたびに拡張領域が50GBずつ追加されていきます。(追加されるたびにAuxArchiveMailboxの数が増えていきます)
自動拡張アーカイブが有効化され、90GBに達してから拡張領域が追加されるまでに最大で30日かかります。
領域としては、上記の図のようにプライマリメールボックスとアーカイブメールボックスと拡張領域でそれぞれ分かれています。
なお、有効化は Powershell のコマンドレットでのみ実施可能です。
組織全体に適用する場合
Set-OrganizationConfig -AutoExpandingArchive
※有効にすると既存のメールボックスと今後作成する新規メールボックスに適用されます。
※組織全体に適用後にユーザーメールボックスのインプレースアーカイブを有効にした場合も自動的に自動拡張アーカイブが適用されます。
特定のユーザーに適用する場合
Enable-Mailbox <メールアドレス> -AutoExpandingArchive
※ 自動拡張機能をメールボックス単位で有効にすると、初回の動作としてプライマリ メールボックスの回復可能なアイテム領域、アーカイブ メールボックスのクォーター値は、暫定的に 110 GB に拡張されます。
自動拡張機能の有効化に関する留意点
- 組織または特定ユーザーの自動拡張アーカイブを有効にした後で、追加のストレージが使用できるようになるまで最大で 30 日かかる場合があります。
- アーカイブ メールボックスの [プライマリ領域] もしくは [回復可能なアイテム領域] の使用容量が 90 GB を超過することで、初回の自動拡張がおこなわれます。
- 自動拡張アーカイブを有効にした後は、無効にすることはできません。
- 自動拡張アーカイブを有効にする前に、ユーザーのアーカイブ メールボックスを有効にする必要があります。
※ 上記はユーザー単位で有効化する場合についてとなり、テナント単位で有効化が行われている場合は、メールボックスの作成後、インプレースアーカイブの有効化を行うことで、自動拡張も適用される動作となります。
- 1日に 1GB 以上容量が増えるようなメールボックスはサポートされておりません。(自動拡張が動作するまでに容量の上限を超える可能性があります)
- 自動拡張可能な上限は 1.5 TB までとなっております。
- 非アクティブなメールボックスの復元ができなくなります。
- 削除済みアイテムに移動したフォルダを削除することができなくなります。
- 自動拡張アーカイブに保存されているメッセージにアクセスするには、ユーザーは次のいずれかのクライアントを使う必要があります。
・Outlook on the web
・Outlook 2016 for
※ Outlook 2013 をご利用の場合は、アーカイブ メールボックスにもともと保存されていたアイテムのみのアクセスとなり、追加アーカイブ記憶域に移動されたアイテムにはアクセスできません。
アーカイブメールボックスの自動拡張機能を利用するためのライセンス要件
・Exchange Online Plan 1 (Enterprise E1 や Business Premium など) の場合は、別途 Exchange Online Archiving を追加で可能
・Exchange Online Plan 2 (Enterprise E3 や E5 など)
インプレースアーカイブを有効化している状態でライセンスを剥奪した場合
インプレースアーカイブを有効化している状態でライセンスを剥奪した場合はアーカイブメールボックスのアイテムがすぐに削除されるということはありませんでしたが、ライセンス要件を満たしていない状態となりますので、動作保証されないものと考えられます。
そのため、問題が発生したりデータが消えたりしても保証がされない状態ですので、ライセンスを剥奪しないことをおすすめします。
また、kiosk プランだとインプレースアーカイブが利用できないため、kiosk にライセンスを変更した場合も同様に動作保証がされない状態となります。
なお、インプレースアーカイブを無効化した場合は、30日経過後にアーカイブメールボックスのアイテムが削除される動作です。
インプレースアーカイブに関連する以下の記事もご参照いただけますと幸いです。