既定の動作ではインプレースアーカイブを有効にした場合、MRM アイテム保持ポリシーの [Default 2 year move to archive] の既定タグにより、受信トレイなどのメールアイテムは受信日を起算日として 2 年経過しているアイテムが、プライマリ メールボックスからアーカイブ メールボックスへ自動的に移動します。
そして、予定表アイテムは、予定の終了日を起算日として 2 年経過したアイテムがプライマリメールボックスからアーカイブメールボックスに移動します。
受信トレイなどのフォルダは、アーカイブへ移動しない個人タグを設定することでアーカイブに移動しないように変更することができますが、予定表フォルダは、個人タグを適用することができないため、個人タグよるアーカイブへの移動を除外することができません。
タスクフォルダも同様に個人タグを設定できませんので除外できません。また、予定表のみ異なる期間でアーカイブに移動するということもできません。
そのため、予定表のアイテムをアーカイブに移動しないようにしたい場合は、既定タグを削除したアイテム保持ポリシーを作成し、受信トレイなど各フォルダにアーカイブポリシーの個人タグを設定することで予定表アイテムをアーカイブへ移動しないようすることができます。
既定タグを使わないようにしてアーカイブへアイテムを移動したいフォルダに個人タグでアーカイブに移動するようにする方法です。ポリシーを作成して特定のユーザーだけに設定することができます。
以下に手順をご紹介したいと思います。
1. アーカイブへ移動する個人タグを作成する手順
既定では、以下のアーカイブへ移動する個人タグがあります。受信トレイなどの各フォルダについてアーカイブへ移動する期間が以下の個人タグで満たせる場合は、1. の作業は省略して次へ進めてください。
既定のアーカイブへ移動する個人タグ
- Personal 1 year move to archive : 365 日(1年)経過したアイテムはアーカイブに移動する。
- Personal 5 year move to archive : 1825 日(5年)経過したアイテムはアーカイブに移動する。
- Personal never move to archive : アーカイブへ移動しない
1. 管理者ユーザーにて Microsoft 365 にサインインし、左メニュー [管理センター] > [コンプライアンス] をクリックします
2. 画面左側のメニューから [データライフサイクル管理] - [Exchange (従来版)] をクリックします。
3. 上部の [MRM アイテム保持タグ] をクリックします。
4. [+ タグの新規作成] をクリックします。
5. [名前] に任意のタグ名を入力し、[次へ] をクリックします。
※ [説明] は任意で入力します。
6. [ユーザーによってアイテムとフォルダに (個人)] を選択し、[次へ] をクリックします。
7. 以下の内容で設定を行います。
-保持期間 : アイテムの保管期間が次の日数に達したとき : 1 ~ 24855 まで指定可能です。
-保持処理 : -[アイテムをアーカイブに移動] を指定します。
8. [次へ] をクリックします。
9. [送信] > [完了] をクリックします。
2. 新しいアイテム保持ポリシーを作成し、対象メールボックスへ設定する
1. 管理者ユーザーにて Microsoft 365 にサインインし、左メニュー [管理センター] > [コンプライアンス] をクリックします
2. 画面左側のメニューから [データライフサイクル管理] - [Exchange (従来版)] をクリックします。
3. 上部の [MRM アイテム保持ポリシー] をクリックします。
4. [ + 新しいポリシー] をクリックします。
5. "名前" には任意で入力し、[ + タグの追加] をクリックし、上記で作成した保持タグと任意で必要な保持タグを追加します。
※ "Default 2 year move to archive" は追加しないでください。
6. [次へ] をクリックします。
7. [送信] をクリックします。
8. [Exchange 管理センターに移動] をクリックします。
9. Exchange 管理センターに移動したら、[受信者] - [メールボックス] をクリックします。
10. 一覧より対象メールボックスを選択します。
11. [メールボックス] タブをクリックし、"アイテム保持ポリシー" の [メールボックスポリシーの管理] をクリックします。
12. "アイテム保持ポリシー" のプルダウンより、上記にて新規作成されたアイテム保持ポリシーを選択し [保存] をクリックします。
保持タグを変更した場合、管理フォルダアシスタントが動作したタイミングで変更が適用されるので、最大で 7 日かかる可能性があります。
管理フォルダアシスタントについては、以下の記事をご参照ください。
作成したアイテム保持ポリシーが適用されたら、以下の手順にて、アーカイブへ移動する各フォルダへアーカイブポリシーの個人タグを適用してください。
個人タグを設定していないフォルダについては、アーカイブへ移動しません。
Outlook on the webの場合
1. Outlook on the web を開きます。
2. 対象となる親フォルダーやサブフォルダーを右クリックし [ポリシーの割り当て] にカーソルをあわせます。
3. 表示される個人タグの一覧より、任意の個人タグを選択します。
Outlook クライアントの場合
1. Outlook クライアントを起動します。
2. 対象となるサブフォルダーを右クリックし [プロパティ] を選択します。
3. [ポリシー] タブ を選択し、"オンラインアーカイブ" (アーカイブへの移動に関する保持タグ) 欄のプルダウンメニューより、任意の個人タグを選択します。
※ 期間で表示されます。
4. [OK] をクリックします。
なお、個人タグの設定状況はPowershellにて、 Get-MailboxFolderStatistics のコマンドレットの以下の値から確認が可能です。
ArchivePolicy : アーカイブに移動
DeletePolicy : 削除するタグ
また、[RetentionFlags] 項目には明示的に個人タグを付与したことを示す [ExplictArchiveTag] が設定されることを確認してます。
以下にコマンドレットをご紹介したいと思います。
ExchangeOnlineに接続してから実行してください。
[実行例]
Get-MailboxFolderStatistics -Identity User001@contoso.com | Select Name,FolderPath,ArchivePolicy,DeletePolicy | Export-CSV -NoTypeInformation -Encoding UTF8 -Path "C:\Temp\MailboxFolderStatistics.csv"
※ User001@contoso.com を対象のユーザーのアドレスに置き換えて実施してください。
<出力結果>
Name : フォルダ名
FolderPath : フォルダの Path
ArchivePolicy : アーカイブへ移動する個人タグ
DeletePolicy : 自動削除される個人タグ
MRMアイテム保持ポリシーについて以下の記事でご紹介しておりますので参考としてくださいね。