プライマリアドレスを変更した場合、既存のアドレスは自動的にセカンダリアドレス(エイリアス)として登録される動作です。
プライマリアドレスが送受信可能なアドレス、セカンダリアドレスが受信可能なアドレスです。
なお、既定ではセカンダリアドレスを差出人として送信することはできませんが、以下の記事の設定により送信することも可能です。
今回は、Exchange 管理センターから変更する手順とPowershellから変更する手順をご紹介したいと思います。
Exchange 管理センターから変更する場合
- Microsoft365 管理センターにて、[管理センター] から [Exchange] をクリックし、Exchange 管理センターを開きます。
- Exchange 管理センターにて、画面左項目より [受信者] > [メールボックス] を選択します。
- 該当のユーザーをクリックし、全般タブの [メールアドレスの種類の管理] をクリックします。
- [+ メールアドレスの種類を追加] をクリックします。
- [メールアドレス] に変更後のメールアドレスを入力します。
- [このアドレスを返信アドレスに設定する] にチェックを入れます。
※チェックを入れることでプライマリアドレスとして登録されます。
- [OK] をクリックします。
- 該当のメールアドレスが [SMTP (プライマリアドレス)] として登録されていることを確認します。また、既存のアドレスが [smtp (セカンダリアドレス)] として登録されていることを確認します。
- [保存] をクリックします。
Powershellで変更する場合
以下のサイトの手順にて、Exchange Online に接続してから実行してください。
【コマンドレット】
Set-Mailbox -Identity <該当ユーザーの既存メールアドレス> -WindowsEmailAddress "<変更後のプライマリ メールアドレス>"
【実行例】
Set-Mailbox -Identity User01@contoso.com -WindowsEmailAddress "User02@contoso.com"
【説明】
コマンドレットの実行により、元のプライマリ メール アドレスは、セカンダリ メールアドレスとして登録されます。
一括での変更
◆ 1. CSV ファイルを作成する
[CSV ファイル構文例]
1 行目 : PrimarySmtpAddress,NewSmtpAddress
2 行目 : メールボックスのアドレス,変更後のメールアドレス
[作成例]
PrimarySmtpAddress,NewSmtpAddress
User01@contoso.onmicrosoft.com,User01@contoso.com
User02@contoso.onmicrosoft.com,User02@contoso.com
User03@contoso.onmicrosoft.com,User03@contoso.com
※ 上記例では、現在 User01@contoso.onmicrosoft.com がプライマリアドレスと設定されているメールボックスに対して、User01@contoso.com に変更を行うよう記載しています。
※ CSV ファイルの中に漢字など 2 バイト文字を使用する場合につきましては、UTF-8 形式で保存する必要があります。
UTF-8 での保存の手順
- CSVファイルを右クリックし、[プログラムから開く] - [メモ帳]の順にクリックします
- 開いたメモ帳で[ファイル] - [名前を付けて保存] の順にクリックします。
- ファイルの種類で「すべてのファイル」を選択します。
- 文字コードで「UTF-8」を選択します。
- [保存]をクリックします。
◆ 2. プライマリ SMTP アドレスを一括変更するコマンドを実行
作成した CSV ファイルを読み込み、一括でプライマリ SMTP アドレスを変更します。
[構文]
Import-CSV "<保存先パス\ファイル名.csv>" | Foreach {Set-Mailbox -Identity $_.PrimarySmtpAddress -WindowsEmailAddress $_.NewSmtpAddress}
[実行例]
Import-CSV "C:\Temp\ChangeMailbox.csv" | Foreach {Set-Mailbox -Identity $_.PrimarySmtpAddress -WindowsEmailAddress $_.NewSmtpAddress}
※ 実行例では作成した C ドライブの Temp フォルダの ChangeMailbox.csv を読み込んで設定するコマンド例となります。
メールアドレス変更による影響
基本的にメールアドレスを変更しても紐づいているメールボックスはそのままですので、メールアイテムもそのまま閲覧できますし、設定自体も継続して利用できます。
既存のアドレスも自動的にセカンダリアドレスに登録され、引き続き受信することもできますので、メールを利用するうえで影響はないと思います。
メールボックスのGUID の値が同一であれば、紐づいている状態であると判断が可能ですので、参考程度とはなりますが、GUIDの確認手順をご紹介します。
GUID は、以下の Powershell のコマンドレットにて、確認が可能です。
※ Exchange Online に接続してから実行してください。
<構文>
Get-Mailbox -Identity <メールアドレス> | Select DisplayName,PrimarySmtpAddress,GUID | Export-CSV -Encoding UTF8 -Path <ファイルパス\ファイル名>.csv -NoTypeInformation
<実行例>
Get-Mailbox -Identity test@contoso.com | Select DisplayName,PrimarySmtpAddress,GUID | Export-CSV -Encoding UTF8 -Path C:\temp\Mailbox.csv -NoTypeInformation
※C ドライブの配下の temp フォルダーに Mailbox.csv という名前のファイルで情報保存する場合
<出力結果>
DisplayName : 表示名
PrimarySmtpAddress : メールアドレス
GUID : GUID