退職者のメールボックスをライセンスを使わずに残したいというシナリオがあると思いますが、その場合、ユーザーメールボックスを共有メールボックスに変換することで可能です。
共有メールボックスに変換した場合、ライセンスを解放することができ、 他のユーザーに付与することもできます。
メールのデータや設定についてもそのままの状態で引き継ぐことができます。
以下に手順をご紹介していきたいと思います。
共有メールボックスに変換する方法
ご留意点について
共有メールボックスにて、訴訟ホールドなどの保持機能やインプレースアーカイブ機能をご使用する場合、共有メールボックスに対して下記いずれかのライセンスを割り当てる必要がございます。
・Exchange Online Plan 2 (または Exchange Online Plan 2 が含まれるライセンス)
・Exchange Online Plan 1 (または Exchange Online Plan 1 が含まれるライセンス) + Exchange Online Archiving オプション
上記機能が有効化されているメールボックスからライセンス剥奪を行う場合につきましては、ライセンス剥奪を行う前に、当該機能を無効化していただく必要があります。
また、ユーザーメールボックスで 100GB の容量を利用していた場合は、共有メールボックスに変換することで容量が50GBになりますので、容量の上限を超えてしまい送受信ができない状態となります。
そのため、あらかじめ容量を50GB未満に減らしていただく必要があります。
1. ユーザーメールボックスを、共有メールボックスへ変換する
前提 : 共有メールボックスについて
共有メールボックスは、ユーザーメールボックスと同様にひとつの独立したメールボックスとなり、メールアイテムの受信や、送信権限を付与したユーザーにて共有メールアドレスとしてメールの送信を行うことが可能となります。
また、共有メールボックスの容量は、1 メールボックス毎に 50GB の容量です。
共有メールボックスのご利用につきましては、ライセンスを付与されたユーザーメールボックスから、自身のメールボックスとは別の共有メールボックスにアクセスし、共有メールボックス内に格納されているアイテムの確認や、その他ユーザーと共有することを目的として利用可能なメールボックスとなっております。
共有メールボックスはライセンスの付与を行わなくても作成が可能です。
ユーザーメールボックスを、共有メールボックスへ変換する
以下の手順にて、ユーザーメールボックスを、共有メールボックスへ変換します。
※ メールボックス内のアイテムを引き継いだ状態にて変換いたします。
※ ユーザーにライセンスが付与されている状態で実施いたします。
- 管理者にてOffice 365 へサインインを行い、Microsoft 365 管理センター 左ペイン [管理センター] - [Exchange] の順にクリックし、Exchange 管理センターを開きます。
- 左ペイン[受信者] - [メールボックス] 一覧より、共有メールボックスに変換するアカウントを選択します。
- 画面右ペインの[共有メールボックスに変換] 項目の [変換] をクリックします。
- 画面上に警告が表示されますので、対象のメールボックスであることを確認し[はい] をクリックします。
- 処理画面が表示され、変換後に完了画面が表示されます。
変換したメールボックスは、Exchange 管理センター左ペイン [受信者] - [共有] 項目に表示されますので、変換後にご確認ください。
補足事項について
Exchange 管理センター (Exchange Online) で実施した作業が Microsoft 365 管理センター (Azure Active Directory) へ反映されるまで数分かかる場合があります。
※ 共有メールボックスへ変換後、対象ユーザーのメールボックス内アイテムを確認する際は、確認を行うユーザーに共有メールボックスのアクセス権限を付与します。
以下に手順をご案内いたします。
- 管理者にてMicrosoft 365 管理センター へサインインを行い、左ペインの [管理センター] - [Exchange] をクリックし、Exchange 管理センター (https://outlook.office365.com/ecp/) を開きます。
- 左ペインの[受信者] をクリックし、画面中央上部の [共有] 項目にて、対象の共有メールボックスをダブルクリックします。
- [メールボックスの委任]項目内、[フルアクセス許可] - [+] より、共有メールボックスを共有するユーザーを選択し [OK] をクリックします。
- [メールボックスの委任]項目内、[メールボックス所有者として送信する] - [+]より、共有メールボックスのアドレスとしてメール送信を行う権限を付与するユーザーを選択し [OK] をクリックします。
- [保存]をクリックします。
※権限がユーザーに反映されるには時間を要する場合があります。
2. 共有メールボックスへ変換後、ライセンスを剥奪する
Microsoft365管理センターの[アクティブなユーザー]にて、該当の変換された共有メールボックスからライセンスを剥奪します。
また、共有メールボックスをユーザーメールボックスに戻したい場合も、データを引き継いだ状態で変換することができます。
以下にユーザーメールボックスに変換する手順をご案内いたします。
共有メールボックスをユーザーメールボックスへ変換する手順
- 管理者にて Office 365 へサインインを行い、Exchange 管理センターを開きます。
- [受信者] - [共有] 項目でユーザー メールボックスに変換するメール アドレスを選択します。
- 画面右ペインの [通常のメールボックスに変換] 項目から、青文字 [変換] をクリックして選択します。
- 画面上に警告が表示されますので、該当のメールボックスであることを確認し [はい] をクリックします。
- 処理画面が表示され、変換後に完了画面が表示されます。
5-1. 処理中は [共有メールボックスを通常のメールボックスに変換しています] という旨の処理画面となります。
5-2. 完了後は [共有メールボックスが通常のメールボックスに変換されました。 O365 管理センターでライセンスを割り当てて、パスワードをリセットしてください。操作を完了しました。] という完了画面となったことを確認し [閉じる] ボタンをクリックします。
変換が完了しましたら、Exchange Online ライセンスの付与を行うことでユーザー メールボックスとして利用が可能となります。
※共有メールボックスにライセンスを付与してから変換しても問題ありません。
なお、ユーザー メールボックスへ変換後もフル アクセス権限などの権限設定は引き継がれるため、必要に応じて権限の剥奪を行ってください。
また、ハイブリッド構成の場合の共有メールボックスの変換についても触れておきたいと思います。
ハイブリッド構成で共有メールボックスに変換する場合
ハイブリッド構成の環境にて、ユーザーメールボックスを共有メールボックスに変換する場合は、ユーザーメールボックスをオンプレミス Exchange Server に戻してから、共有メールボックスに変換し、共有メールボックスとしてExchange Online に移動することを推奨しております。
この共有メールボックスがハイブリッド環境にある場合、ユーザーのメールボックスをオンプレミスに戻し、ユーザーのメールボックスを共有メールボックスに変換して、共有メールボックスをクラウドに移動することを強くお勧めします (ほとんど必須)。
理由としては、ハイブリッド構成の環境の場合、AD 同期の際にユーザーメールボックスに戻る可能性があるためです。
なお、上述したユーザーメールボックスに戻る問題については、以下の公開情報にて、解決方法をご案内してますので、あらかじめ実施いただいておくことで Exchange Online 上で変換すること可能ではあります。推奨はしておりませんが。